会社にて―― 『今日は家に帰ったら豆ぶつけられなアカンねん』 そう言って専務が照れくさそうに笑った。 思い起こせば私には節分を誰かと楽しんだ(?)記憶があまりない。 母一人子一人の我が家は、娘を差し置いて今更ながらの青春を謳歌している母が家をあけている事も多く、今日も今日とて帰宅した私を出迎えてくれたのは豆まき用の豆とシーチキン巻きだった。 人間……というか、私って勝手だなぁ。 去年まではそれを何とも思わなかったくせに、今日に限ってはセンチメンタル。 会社で聞いた専務のセリフとその時の表情を思い出しては、ちょっぴり切ない気分になってみたりして……。 私が誰かに豆を投げたのって、確か小学生の頃に学校で鬼役の先生に向かってクラスメートのみんなと投げたのが最後じゃなかったっけ? いや、別に誰かに豆をぶつけたいわけじゃないんだけど……。 いや、『ぶつけてもいいよ』って言ってくれる人がいるならぶつけてはみたいけど……。 いや、むしろ私がぶつけられる側でもいいかもしれないんだけど……。 あーあ、節分が土曜か日曜なら友人連中と馬鹿できるのに……。 豆もぶつけられないし(?)、シーチキン巻きで『ピロピロ』とか言ってボケてみた所でだぁれも突っ込んでくれないし(?)、何か切ない……。 いつからだろうねぇ。 『鬼は外、福は内』って玄関先で豆をまく時の声がこんなに小さくなってしまったのは。 いつからだろうねぇ。 恵方を向いて無言で巻き寿司を食べてる時とその前後が全く同じ沈黙に支配されている事に何の疑問も持たなくなってしまったのは――。 文字におこしてみて、ちょっとだけ凹んでみる……。 なにはともあれ! まだまだあります、『節分の憂鬱』。 毎年恒例(?)の憂鬱は、『豆まき用の豆を年の数食べなきゃならない』。 好きでもないのに、年々増える豆を数えて食べ切るのって苦痛以外のナニモノでもないぞ。
by id-from-bc
| 2006-02-03 23:56
| 日常
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