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ミカン


『おまえたちは腐ったミカンじゃない』――
一度もドラマを見た事のない私でも知っている、某有名ドラマのあまりにも有名なフレーズが脳裏をよぎった。



会社にて――。
3時といえば『お茶の時間』。
故にお茶汲み係(?)の私は台所にいた。
そして悩んでいた。

どうしてくれよう、このミカン……。

最近お客様からミカンを大量にもらった。
で、我が社の社長は私に言った。
『いたむからお茶の時間にでも配るなり、各自に持って帰ってもらうなり、適当にして』
と。
それがねぇ、『適当に』なんて言われても困るのさ。
だってみんな(滅多にアーンドそんなに)食べないんだもん。
しかも持ち帰ってもくれないし。
そんなこんなで台所の隣の和室には最近貰ったミカンがまだ大量に居座っていた。
しかも去年に貰ったミカンもいくつか居座っていた。
未だにしつこく居座っていた。


本来私はそんなに進んで果物を食べる方ではない。
好きではあるけどなければないで、むしろなくても……といった感じ。 (ただしライチは例外♪)
つまり、まぁ、なんですね。
『みんなが食べてくれない』なんて人の事言えないわけですわ。
だからと言って『みんなが食べない』『私も食べない』では『誰も食べない』になっちゃってミカンは絶対に減らない訳で……。
ミカンを持ってきてくれた人にも、当事者(?)のミカンにも申し訳がたたない訳で……。
そこで私は覚悟を決めた。
人に言う前に、まずは己が率先して食べようと!
という訳で、私はミカンを手に取った。
去年のを2つ手に取った。
思えばこの子達と出会ったのは去年の12月の初旬。
あれから早数ヶ月。
箱で貰ったものの、今年の初めにいくつかがカビた。
それらを丁寧に取り除き、無事だったものをビニールの袋に避難させて早数十日。
若干『危険な感じ』すらするミカンの皮をむきながら、私はこんな事を思っていた。

おまえたちは腐ったミカンじゃない――

いわば軽~い自己暗示。
そして私は3分の1がしわしわで色も若干茶色がかってる気がしなくもないミカンを一房手に取り口に含んだ。

……う……う~ん……微妙……。

それは水分が少なく、ものすごく甘いクセにちょっぴり切なさをかもした(?)ような味のするミカンで……。
でも、食べられない状態ではないと判断。
だから私は2つ食した。


それから数時間が経って、何やらお腹が若干痛い。

ミカンゆえ?
そんなまさか!
けど他に理由が思い浮かばないんですけど……。

とりあえず『糖衣A』を探そうとは思うけど、本当に『それ』が原因の腹痛なのかは分からない。
ただ一つ分かっている事があるとすれば――

去年貰ったミカンたちよ。
おまえたちは腐ったミカンじゃない。
いたみかけのミカンだ!

そんなミカンを明日また口にする勇気は私にはありません。
by id-from-bc | 2006-02-13 22:56 | 日常
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